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根暗とか、地味とか言われることもある斎藤君だけど、その雰囲気に全員が飲み込まれた。
僕や吉野君達だけでなく、ホモと馬鹿にしていた隣のテーブルの人たちも呆けたように固まっていた。
一番最初に我に返ったのは吉野君で慌ててフォローをする。
「いやいや、男同士を差別するのも問題だけど、地味男君ちょっとそれは言いすぎでしょ。
っていうか、そもそも地味男君とオタク君別に付き合ってないでしょ!?」
斎藤君は慌てる吉野君とは対照的に相変わらず淡々としていた。
「ああ、付き合ってないけどそれが?」
その言葉を聞いて、フリーズしていた隣のテーブルの人達は
「紛らわしいことしてんじゃねーよ。ボケが!!」
と捨て台詞を残して、席を立った。
「マジでビビったよ。斎藤何してんの?」
山田君が斎藤君に突っ込むがそれは責めるような口調ではなくむしろ心配していることが滲み出ていた。
「は?何かムカついたんだよ。」
「いやいや、地味男君何言ってんの?なに、その顔で俺様なの!?」
吉野君がいつもの調子を取り戻して言った。
僕は、斎藤君の顔をまじまじと見た。
ホモと言われても全く気にした様子の無い斎藤君に僕は救われたのだ。
小さな声で「ありがとう。」と言ったら斎藤君はこっちを見て
「別に俺のやりたいようにやっただけだ。
気にするな。」
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