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ウィッグを外してシャワーを浴びた後、とりあえず、いつも寝巻代わりに使っているスウェットを着ておく。 髪の毛も、たぶん後でセットするので余計なもの付けて無い方がいいだろうという判断でドライヤーで乾かすだけにした。 そろそろ撮影の準備もできているだろうとサンダルをはいて一階に下りた。 裏口から入るとそこには大吾さんと斎藤君が待っていた。 斎藤君が少し驚いた顔をしてこちらを見ていた。 視線が合う。 それは恐らくほんの短い時間だったであろうけど、僕には長く感じられた。 いつもは僕を守ってくれる眼鏡越しだった彼の視線がそのまま注がれる。 ――ドクドクドク 心臓がありえない音を立てている。 「よし、始めるか。」 と大吾さんに声を掛けられて、我に返ってコクリと頷いた。 斎藤君を残して二人で撮影用となっている一室に入る。 「とりあえず、それに着替えて。直ぐに百花が来てヘアメイクしてくれるから。」 準備されていた、洋服に着替える。 アシンメトリーなトップスにダメージ加工されたジーンズにアクセにサンダルだ。 「このトップスインナー着ない方がいいよね?」 大吾さんに尋ねると、服の方をチラリとみてから     
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