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何でも好きなものを頼みたまえという吉野君にから揚げ定食をお願いした。 うちの高校の学食は安くて量が多い事もあってかかなり混んでいる。 何とかあいている席を見つけて4人で座った。 山田君はラーメン、吉野君はかつ丼、斎藤君はうどんを頼んでいた。 「いただきます。」 僕がそう言うと、吉野君は 「オタク君って本当に律義だよね。」 と笑った。 だけど別に馬鹿にするような言い方じゃなかったと思う。 から揚げを一口食べると生姜の香りと肉汁が口いっぱいに広がって思わず笑みがこぼれる。 「それ、旨いのか?」 隣に座った斎藤君が聞いてくる。 口の中にはまだから揚げが入っているので無言でうなずく。 「地味男君、それで足りるの?」 かつ丼をかき込みながら吉野君が聞く。 「足りない。」 斎藤君は、表情を変えずに言った。 カメラが欲しいと言っていたから節約してるのかな。 僕は、定食ののったトレイを少し斎藤君の方に寄せて 「半分食べる?」 と聞いた。 斎藤君は少し驚いた顔をして「針宮が足りなくなるだろ。」と言った。 僕は元々小食な方だし、学食はかなりボリュームがあるのでこんなには恐らく食べられない。 僕は小さな声で「ちょっと、量多いから。」と言った。 「まあ、俺のおごりなんですけどねー。」 と笑いながら吉野君が言った。     
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