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「ちょ、何、ホモか?」 横のテーブルの人はニヤニヤと笑いながらこちらに声をかけた。 友達らしき人もそれにのっかるように 「まあ、まあ、そう言うなって。あんな根暗そうな奴ら、彼女を作りたくても作れないんだからさ。ああやって男同士でイチャ付くしかねーんだよ。」 そう言われ、恥ずかしさなのか、申し訳なさなのかなんだか分からない感情で涙が滲みそうになる。 僕がうつむいていると、吉野君に「気にするなよ。」と声をかけられる。 僕の所為で、斎藤君にまで迷惑をかけてしまった。 きっとホモに間違えられて嫌な思いをしている。 どうしようと僕が考えていると 「仮に、俺とこいつがホモだったとして、それが何か問題でもあるわけ?」 斎藤君が、恐ろしく淡々と隣の人に質問をした。 そのあまりの冷静さに聞かれた方は一瞬たじろいだが、すぐに言い返した。 「問題あるにきまってるだろうが!!キモイ物見せられるこっちの身にもなれよ。」 斎藤君は軽くため息をついた後口を開いた。 「なら、あんたらはさぞかし、きれいな人間と付き合ってるんだよな? さもないと、キモイ物を見せつけてる事になるんだから。」 馬鹿にしたように斎藤君が笑った。     
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