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慌てて、付けたそうとして上手くいかずしどろもどろになってしまう僕に斎藤君はフッとめったに見せない様な笑みを浮かべた。
「実は俺もそれ結構気に入ってるんだ。」
「そうなんだ!!本当にこの写真すごく良いと思うよ。」
「ありがとうな。この写真要るか?」
「え!?」
「スマホにデータ送った方がいいか?」
「ううん。こっちの方がいい。本当にくれるの?」
「どうぞ。」
「ありがとう。」
しばらく眺めた後、折れたりしないようにノートに挟んだ。
僕の宝物になったことは言うまでもない。
◆
学校が休みの土曜日。
誰もいない倉庫スペースでひたすら、在庫の数を数え棚卸作業を進めていく。
紙に出力された表に一つ一つ記入していく。
これが終わってもまだ、パソコンで入力する作業が残っているのでガックリくる。
作業に集中していると突然肩を叩かれた。
驚いてバランスを崩して尻もちをつきそうになった。
ガクンと体が下がった瞬間腕を引かれて元の体制に戻される。
僕の腕を掴んだその先をみると斎藤君が居た。
「お前本当に良く転びそうになるな。」
「あ、ありがとう。助けてくれて。」
「いや、俺が驚かせたのもあるしな。一応声かけたんだけど、集中してたみたいで気がつかなかったから。」
そんなに集中してたのか。
また助けてもらった。というか掴まれた部分から熱が広がっていく様な気がする。
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