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「髪の毛は、これからもモデルして欲しいから、できれば染めないで欲しいのよ。目はカラコンを買えばいいでしょう。それにこれ、眼鏡をしとけば目の印象もだいぶ変わるだろうし。」
そう言って、撮影用の小物だろうか、比較的シンプルなデザインの眼鏡と黒髪のウィッグだ。
姉が、ウィッグにはクリップのようなものが付いていて着け方にコツがいるということで一緒に着けてみて、眼鏡もかける。
鏡で自分の姿を見てみると、目は青緑のままだが、そこにはおとなしそうな自分がいた。実際の自分の見た目より、こちらの方が僕の内面に近い、そう思ったくらいだ。
心配したウィッグも、たぶん撮影などのプロ用なためもあり、いかにもカツラをかぶってますという感じではなくとても自然だった。
「僕、高校行ってみたい。」
するりと本音が口から出た。
姉はその言葉を待っていたようで、近所の私立高校を紹介してくれた。
偏差値のランクとしては下の方らしいので、たぶん学校に行って無い所為でボロボロな僕の内申でも何とかなりそうな事、比較的自由な校風なので、頭髪検査等は無いであろうという事、あと、プールの授業も無いらしい。
僕はその高校を受験して高校生になった。
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