第2章 崎田が言うには

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第2章 崎田が言うには

お部屋の中は、白い壁で机の前に座ってるのが、多分さっきの優しそうな声のお兄さんだと思う。 白衣を着ていて、お医者さんみたいに見える。 お兄さんの前に置いてある、座るところが丸くてクルクル回る椅子がもう一つあって、スーツのおじさんが腰掛けていた。 あ、保健室と似てる! あと、小児科のおじいちゃん先生の診察室もこんな感じだった。ここ、病院だったの? 勝手に入ったから叱られるかもしれない。 でも、病院っていつも看護婦さんも中にいて、「次どうぞ~」って案内してくれるのに、ここは先生一人しかいないんだ? すると、おじさんの肩越しに、先生と目が合った。 じっと見た後、やっぱり声と同じように優しそうにニコっと笑ってくれた。 声を出さずに、唇だけ動いてる。 『座ってて?』 キョロキョロ周りを見回すと、リコのすぐそばにソファがあった。 おじさんは背中を向けているから、ここにいることを気付かないかもしれないな。 お兄さんの言うとおり、ソファに座った。 いつもの小児科の待合室よりもふわふわで座りやすかった。     
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