0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
第2章 崎田が言うには
お部屋の中は、白い壁で机の前に座ってるのが、多分さっきの優しそうな声のお兄さんだと思う。
白衣を着ていて、お医者さんみたいに見える。
お兄さんの前に置いてある、座るところが丸くてクルクル回る椅子がもう一つあって、スーツのおじさんが腰掛けていた。
あ、保健室と似てる!
あと、小児科のおじいちゃん先生の診察室もこんな感じだった。ここ、病院だったの?
勝手に入ったから叱られるかもしれない。
でも、病院っていつも看護婦さんも中にいて、「次どうぞ~」って案内してくれるのに、ここは先生一人しかいないんだ?
すると、おじさんの肩越しに、先生と目が合った。
じっと見た後、やっぱり声と同じように優しそうにニコっと笑ってくれた。
声を出さずに、唇だけ動いてる。
『座ってて?』
キョロキョロ周りを見回すと、リコのすぐそばにソファがあった。
おじさんは背中を向けているから、ここにいることを気付かないかもしれないな。
お兄さんの言うとおり、ソファに座った。
いつもの小児科の待合室よりもふわふわで座りやすかった。
最初のコメントを投稿しよう!