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「…おにいちゃんはどこで寝るんですか?」
小春はずっとそれが疑問だった。
聞かれた方は目をまん丸にして驚いている。
「ここで寝ようと思ってた…だめだったかな」
さらに眉を下げ今にも泣いてしまいそうな顔。
「だめじゃないです!でも、おふとんをしくばしょがありません」
小春の部屋はとてもシンプルで、目立つものといえば学習机とベッドに本棚、それからクローゼットくらいのものだ。
この部屋に更に布団を敷くためには廊下にはみ出るしかない。
怠惰は部屋を見渡し、目を細めて口角をきゅっとあげた。
「それなら大丈夫だよ。ぼく、コンセントさえあればどこでもいいんだぁ」
ほら、と背中からコードを取り出しコンセントに繋ぐ。
目がうすぼんやりと緑色に光っている。
「あとはスリープモードにするだけだよぉ」
小春は驚いた顔をしていたが、やがてまた困ったように笑う。
「べんりですね」
「ぼくもそう思う」
自慢げな怠惰へ毛布を渡した。
「まだよるはさむいですから、せめてもうふをかけてください」
可愛らしいピンクの小さな毛布を膝にかけて座り込む。
怠惰にはあまりにも小さいが、それでもとても嬉しそうに笑った。
「ありがとう、はるちゃん。あったかい」
それを聞いた小春は安心したように眉を下げる。
電気の紐を引っ張り、照明を豆電球に変えた。
「それじゃあ、おやすみなさい」
「うん、おやすみ」
夜はじんわりと暖かく、ゆっくりと過ぎていく。
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