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『囃音さん、
早太さんの着ボイス作ったんだけど、
良かったら使ってもらえませんか?』
パスワードを解除してくれた東木君から、
昨日の夜に電話が掛かって来て、
そう言われた。
今日は・・・、
午後から保険屋さんと会う予定が有るから、
その前の時間に会う事にして、
近所のカフェまで来てもらった。
「囃音さんこれなんですけど・・・。」
東木君が遠慮がちに言って、
スマホを操作する・・・。
『囃音・・・、
お兄ちゃんは囃音の幸せを・・・、
空からいつまでも見守っているから・・・。』
お兄ちゃんの最期の台詞・・・。
ノートパソコンを警察に提出する前に、
東木君に頼んで、
あの動画を私のスマホに入れて貰った。
武尊さんに友達のアドレスとかは、
消去させられちゃったけど。
あの動画だけは消さなくて良いって、
言ってくれたから今も残してある。
「ちょっとアレンジしちゃったんだけど、
早太さんが囃音さんに言いたかったのは、
この台詞だと思うんだ。
囃音さんが幸せになる事だけを、
それだけを願ってると思うんだ。」
東木君が私の事を、
まだ気に掛けていてくれた事が嬉しくなり、
涙が溢れて来る・・・。
「東木君・・・ありがとう・・・。」
そう御礼を言うのがやっとだった・・・。
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