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「じゃあエアステーキ丼作ってあげるね!」
自信満々の笑顔で、
台所へ行く詩夜璃さん。
エアステーキ丼って何?
台所からカチャカチャとかカタンって、
音が聴こえて来る。
ジュゥゥゥ・・・って音が聴こえてきて、
お醤油の匂いがして来た。
「あ!」
今の『あ!』って何っ?
何かね・・・不安しか無い・・・。
「お待たせ~!」
お盆にご飯茶碗とお椀を乗せて、
ニコニコしながら戻って来た詩夜璃さん。
出来上がり早っ!
僕の前に置かれたのは、
お醤油らしき物が掛けられたご飯と、
お味噌汁だった・・・。
「これのどこがステーキ丼なの?」
とりあえず聞いてみた。
「ステーキ丼じゃなくてエアステーキ丼よ。
フライパンを温めてお醤油をターッって垂らして、
お醤油の良い匂いがして来たら、
火を止めてバターを入れるの。
それをご飯に掛けて、
上にステーキが乗ってるのを想像して食べるのよ。」
「バター醤油掛けご飯じゃん。
お肉焼こうよお姉ちゃん。」
「お肉高いでしょっ!
凛斗のクセに生意気よっ!
お手本見せてあげるから、
真似して食べてみなさい!」
そう言って詩夜璃さんは、
自分のお茶碗を持って、
ご飯の上の何も無い所を、
箸で摘んで口に運ぶ。
「ハムッ!・・・ムグムグ・・・。
あ~!やっぱりA5ランクの松坂牛には、
蕩けるって表現が合うわよね~!」
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