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『囃音、今から飲み会だから、
食事は要らないよ。』
「そうなの・・・判りました。」
『それじゃ。』
そう言って武尊さんは電話を切る。
時刻は夜の九時半・・・。
テーブルの上の冷めた料理をぼんやりと見る。
お兄ちゃん・・・、
これがお兄ちゃんの言う幸せなの・・・？
魔女が言った、
『妹サンノ為ニ死ヌ事ハ無イヨ。』
その言葉が頭の中で繰り返される。
・・・お兄ちゃん。
・・・逢いたいよ。
台所を、
片付けて無いのを思い出した。
早く片付けないと・・・。
そう思って台所に行く。
・・・包丁も出しっぱなしだった。
『妹サンノ為ニ死ヌ事ハ無イヨ。』
・・・包丁を握る。
『妹サンノ為ニ死ヌ事ハ無イヨ。』
・・・とてもキラキラした包丁。
『妹サンノ為ニ死ヌ事ハ無イヨ。』
・・・左の手首に当てる。
『妹サンノ為ニ死ヌ事ハ無イヨ。』
・・・私のせいなんだよね？
『ソウダ・・・オ前ノセイダ！』
・・・ゴメンね・・・お兄ちゃん。
『囃音・・・、
お兄ちゃんは囃音の幸せを・・・、
空からいつまでも見守っているから・・・。』
突然スマホから聴こえてきたお兄ちゃんの声。
私・・・何しようとしてたの？
スマホを手に取った。
スマホを見てもメールも電話も来て無い。
何で鳴ったのかしら・・・？
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