第６話 神から与えられた権利

贈り物

「えっ・・・良(い)いんですかっ！」

嬉(うれ)しそうな表情(かお)で守屋(もりや)君(くん)が言(い)うと、

「ダメですよ囃音(はやね)さんっ！
　車(くるま)なんて高価(こうか)な物(もの)はダメですっ！」

九条(くじょう)さんがそれを遮(さえぎ)るように言(い)う。

「そうだよ囃音(はやね)さん！
　車(くるま)なんて貰(もら)えないよ～！」

東木(ひがしぎ)君(くん)までもがそう言(い)って断(ことわ)ろうとする。

「私(わたし)・・・、
　免許(めんきょ)持(も)って無(な)いからさ～、
　乗(の)れないのよね～。
　新車(しんしゃ)で買(か)ってそんなに乗(の)ってないのに、
　売(う)っちゃうと半額(はんがく)になるのよ～。
　それってさ～、
　かなり損(そん)しちゃう気(き)がするのよね～。
　それならさ～、
　命(いのち)の恩人(おんじん)の貴方達(あなたたち)に、
　使(つか)って貰(もら)った方(ほう)がさ～、
　何(なん)かお得(とく)だと思(おも)うんだ～！」

そう言(い)って説得(せっとく)を続(つづ)ける。

いやらしい話(はなし)だが車(くるま)をプレゼントする事(こと)で、
皆(みんな)との繋(つな)がりを続(つづ)けたいと言(い)う、
気持(きも)ちから出(で)た言葉(ことば)だった。

「それにしても車(くるま)はダメですよ。」

九条(くじょう)さんは頑(かたく)なに拒(こば)むが、

「いやいや確(たし)かに買(か)って直(す)ぐに売(う)るのは、
　金(かね)をドブに捨(す)てるに等(ひと)しい行為(こうい)と言(い)えよう・・・。
　ここはご好意(こうい)に甘(あま)えるべきだ！」

守屋(もりや)君(くん)が力強(ちからづよ)くそう言(い)った！

守屋(もりや)君(くん)はどうやら欲(ほ)しい様子(ようす)だ。

「守屋(もりや)君(くん)・・・良(い)い事(こと)言(い)ったわ！
　そうよお金(かね)をドブに捨(す)てるのと一緒(いっしょ)よっ！
　お姉(ねえ)ちゃんからのプレゼントだと思(おも)って、
　是非(ぜひ)とも受(う)け取(と)って欲(ほ)しいのよっ！」

私(わたし)は力強(ちからづよ)くそう言(い)った。