第６話 神から与えられた権利

それぞれの思惑

九条(くじょう)め・・・、
長々(ながなが)と魔女(まじょ)がどうのこうの言(い)ってたのは、
ここに持(も)って来(く)る為(ため)だったか・・・。

望月(もちづき)の名(な)を出(だ)せば、
俺(おれ)が止(と)めるであろうと予測(よそく)しての事(こと)だな・・・。

止(と)めなかったらどうするのだ？
九条(くじょう)詩夜璃(しより)よっ！

「そうだな・・・。
　我々(われわれ)の知(し)る人物(じんぶつ)で裏社会(うらしゃかい)に精通(せいつう)している者(もの)は、
　他(ほか)には居(お)らんのだからそうするより有(あ)るまい。」

「えっ・・・？」

思(おも)わぬ回答(かいとう)に驚(おどろ)きの声(こえ)を上(あ)げ、
九条(くじょう)は表情(ひょうじょう)を固(かた)めた・・・。

「ん・・・？どうかしたのか？
　まさか俺様(おれさま)が止(と)めるとでも予測(よそく)してたのか？」

「そ、そんな訳(わけ)無(な)いじゃないの！
　アンタなら賛成(さんせい)すると思(おも)ってたわよ・・・。」

そう言(い)って俺達(おれたち)に背(せ)を向(む)けて、
九条(くじょう)は押(お)し黙(だま)る・・・。

この場(ば)をどう切(き)り抜(ぬ)けるか考(かんが)え中(ちゅう)・・・、
と言(い)った所(ところ)か・・・？

「詩夜璃(しより)さん！それしか無(な)いよっ！
　牙龍会(がりゅうかい)へ行(い)こうよっ！」

・・・凛斗(りんと)が張(は)り切(き)る理由(りゆう)は判(わか)らぬが、
九条(くじょう)に程良(ほどよ)いプレッシャーを与(あた)えている。

「あっ！タイガーさんっ！
　タイガーさんって闇(やみ)ルートの売人(ばいにん)とか、
　そう言(い)う人達(ひとたち)知(し)ってるんじゃ無(な)いかな？」

表情(ひょうじょう)を輝(かがや)かせて振(ふ)り向(む)いた九条(くじょう)に、

「師匠(ししょう)はその類(たぐい)の輩(やから)は大嫌(だいきら)いだ。
　だから知(し)る由(よし)など無(な)いな。」

厳然(げんぜん)足(た)る事実(じじつ)を示(しめ)し、
さらに絶望感(ぜつぼうかん)を上乗(うわの)せする俺(おれ)。

『素直(すなお)に謝(あやま)っておけば良(よ)かったー！』

と後悔(こうかい)させてやるからなっ！