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最終的にはこれ迄積み重ねてきた不正を、
戸繰に押し付け引責辞任という形で退陣させ、
爽やかでクリーンな新社長というイメージで、
啓介を社長の席に座らせる事が出来た。
後は啓介に社長としての風格と、
自覚が備わってくれれば良いのだけど・・・。
風格はともかく自覚が足りな過ぎる!
「良いじゃん周りに僕等の事情を、
知らない人なんて居ないんだからさ。」
まだそんな甘い事を言っている!
確かに今居る秘書達は全員、
私達の事情を知ってはいるが・・・。
「社長・・・、
事情を知る知らないでは無いのです!
社長としての、
心得の問題だと言ってるのですよ!
身内だからとかの・・・。」
「判った判った判ってますよ。
それじゃあ宝陽さん、
あの騒ぎを収めて来て下さい。
・・・社長命令です。」
そう言って啓介は外を指差す。
・・・あのガキいっ!まだ揉めてやがるっ!
「我が社の品位が落ちてはかないませんからね。」
にこやかに啓介が言う。
「・・・判りました。」
私はそう言って外に向かう。
「今夜の食事会には、
葉向さんに同行してもらいますから、
そのまま遊びに行って構いませんよ!」
私の背後から、
啓介の寝言が聞こえた。
友達じゃねえしっ!
あのガキはとっとと帰らせるっ!
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