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「あっ!詩夜璃さんこっち来るよ!」
凜斗の言葉を聞いた俺は、
蔵武建設の方に目を向ける。
玄関前に宝陽の姿と、
宝陽に背を向けてこちらに歩いて来る、
九条の姿が見えた。
「タナトスよ・・・、
アイリーンが我々の席へ来て言う台詞を、
当ててみせよう。
『望月さんを紹介してもらえなかった。
だからこれ以上の捜査は無理。』
と言うだろうな。」
「へっ?どういう事?」
九条の思惑を知らない凛斗は、
不思議そうな顔をして聞いてくる。
「そもそもアイリーンが、
十三番目の魔女探しを言い出したのは、
俺様のアイスを勝手に食べた事を、
有耶無耶にする為だからな・・・。
牙龍会の望月の名前を出す事によって、
俺様に止めさせようと目論だのだ。
しかし俺は止めなかった・・・。
それで次に思い付いたのが、
一人で蔵武建設に行くと言って、
途中でバックれる作戦だ・・・。
俺様はそれをさせない為に、
ここまで付いて来たのだ。
今、奴は宝陽に会っては居たが、
会話の内容は茶を濁す程度の世間話で、
望月の事など一言も話してはいない。
その上で我々には、
望月を紹介してくれなかったと言い、
魔女探しはここで終了と言うのだ。」
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