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無事に大トロを四切れ程確保した私。
その大トロを一切れ箸で摘まみ、
山葵を溶かした刺身醤油に浸けて、
口に運び込み・・・、
そして咀嚼する。
『美味しい・・・。』
『蕩ける・・・。』
『正に究極、故に至高。』
等と口を開けて言うのも、
憚られる程の美味・・・。
『美味しい物は人を無口にする。』
誰の言葉かは忘れたが、
その言葉の意味を今、
・・・実感している。
確保した大トロも残り一枚となり、
最後の一枚を口に入れた時。
私の目の前に小鉢が置かれた。
その小鉢の中には、
練り物をお団子状にして揚げた物に、
あんかけ風のお出しをかけた物が、
入っていた。
「こちら、
海老のしんじょうで御座います。」
それを聞き私は驚く!
海老の心情・・・、
要するに海老の気持ちである。
日本料理の料理名にも、
そんな詩的な表現が付けられた物が、
存在していたと言う事に!
日本料理界と言う物に、
お堅いイメージを持っていた私だが、
料理の名前に海老の心情なんて、
ちょっと茶目っ気のある名前を付けた、
料理人が存在してた事を知り、
・・・和んだ。
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