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第1話:「伝説の勇者の剣かもしれない」
人々は穏やかな暮らしをすごしていた。
魔王がいなくなってから、脅威というものが現れなかったからだ。
今や魔王や魔獣、そして勇者の存在は文献にしか残っていない。
かつては妥当魔王討伐のために一致団結するために大きな国々があった。
戦士や武闘家、鍛冶屋といった職業が人気で、時折大きな怒号が鳴り響き、魔王討伐とみられる部隊が行き来するのが日常だった。
しかし今はそんな職業の者などはほとんどいない。
大きな国々もいつしか解体され、今は中規模の自治体のみ。
かつて魔獣から民を守るために築かれた大きな壁や城は今はなく、太陽の光が心地いい。
人々は必要以上のものを採らず、自然との共存をして暮らしていた。
そして、とある小さな村からこの物語は始まる。
大きな街から少し離れたソーロウの村で過ごす16歳の少年イチモツは、この日一人で隣の山に芝刈りに来ていた。
山を切り開いて作られた畑では、精力のもととなる野菜マンゲキョウを栽培しており、大きな街に出荷するほどの人気だ。
村の主な収入源で、それ故に大事な仕事であるが、大人に付いてきてもらわなくても、イチモツは一人前の仕事をこなしていた。
イチモツには血の繋がった親兄弟はいない。
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