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「稲森と相馬に言われてきました。魔道具の魔力の補充との事ですが、どうすればよいのでしょうか?」
「ああ。花井君か。それじゃ、とりあえずここに来てもらえるかな?」
「はい、分かりました。…………ここでいいのでしょうか?」
花井は複数の装置が置かれている場所の目の前に移動した。
「…………?」
花井は目の前に置かれている複数の装置を見た。装置に魔力は補充していない。補充していないはずなのに、装置は問題なく動いているのだ。
「あの…………どうして装置は動いているのでしょうか?」
花井の問いにジードが答える。
「それは、一時的に僕たちの魔力を使っているだけだよ。」
しかし、花井はそうする意味が分からずにいた。
神の魔力でも動いているのなら、何故花井の魔力で補充する必要があるのか。
そのような問いが花井の頭の中にはあった。
「なんだか理解出来ていないような顔をしてるね。
疑問に思っているのは、『何故、花井君が魔力を補充しなければならないのか』かな?」
花井は何故自分の考えている事が分かるのだろうか。なんて事を思いながらも、顔を縦に振った。
「そうだね。これは一時的にだから。いくら神といえども、元は人間だしね。魔力量は君たちより少し多い程度だからね。いつまでもは魔力が保たないんだよ。」
「俺の魔力量は神からみても多いのでしょうか?」
「多いよ。僕たちよりも断然多いから。だから今から魔力の補充をしてもらうんじゃないか。」
「そろそろ、補充をしてもらえますか?」
ずっと作業をしていたグラードが花井を急かした。
花井は慌てながらも補充の方法を聞く。
「あ、あの。どうやって補充をするのですか?」
「え?相馬達に聞いてないの?」
「はい。相馬達には、『ジードとグラードに聞いてくれ』と言われまして……」
「あいつら、仕事放棄だな。後で罰を与えなければ…………」
ジードが何やらブツブツ言い出したので、花井は呼び戻す。
「結局はどうすればよいのでしょうか?」
「ん?ああ。その装置に触れるだけでいいよ。」
そう言われて、花井が装置に手を置くと、
「なんだこれ。魔力が吸い込まれる。」
「…………あの、いつまで置いとけばいいのでしょうか?」
「ああ。そろそろ離していいよ。」
そう言われて手を離した瞬間、花井は気を失った。
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