一章

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「くそ。どうやったらコイツは倒せるんだよ。」 相馬と稲森は人間とはかけ離れた姿になってしまった生徒と戦闘を行っていた。しかし、状態は決して良くなかった。 「ゴーレムを行かせても炎で溶かされちまうし、重力魔法で上から不意を突こうとしても水蒸気のせいで近づけねーし。どうすりゃいいんだよ。」 相馬が生徒に近づこうとすると水を蒸発させて近づけないようにしてしまう。 「俺の精霊魔法でも無理だ。属性の種類はあるが、ひとつひとつの威力はそこまで強くないからな。威力で押し負ける。」 精霊魔法は精霊との距離感で威力が変わる。まだ精霊魔法を使い始めて少ししか経っていない稲森には、それほどの威力が出せないのだ。 稲森とは逆に相馬の錬金術は威力が高い。だが、使いこなすことが難しく、速度と有効範囲も狭い。 今は、炎や水の攻撃を相馬の錬金術で防いでいるが、このままだと負けてしまう。 「ジリ貧だな。速く打開策を考えないと。」 「相馬はそういうのは得意だろ。少なくとも俺よりは。つーか、あいつの魔力はどうなってるんだよ。あんなに無駄に魔力を振りまいて魔力切れが起こらないなんてなんつー魔力量してるんだよ。」 魔力量だけでも、相馬の2倍近くあるだろう。それに加えて、威力負けもしているとなると、かなり分が悪い。 「相馬。またアレをやることになりそうだな。」 「お前も俺と同じ事を考えていたか。そうだな。気は乗らないがアレをやるしか無さそうだな。」 相馬と稲森が『アレ』と言っているのは、共同作業だ。 このままでは、自分達の魔力切れが先に来ると判断したのだろう。 「俺がゴーレムを出すから、そいつに水の膜を張ってくれ。出来るだけ厚めに頼む。」 「ああ。分かった。俺の出来るだけの魔力をかき集めて厚すぎるぐらいの水の膜を張ってやるよ。」 稲森の了承を得た相馬は目一杯のゴーレムを作り始める。 「よし。これでいいな。」 相馬は造り出されたゴーレムを見上げてそう言った。 今、相馬が造ったゴーレムはいままで造った中で1番大きいものだった。さっき造ったゴーレムの数倍はあるだろう。 高さは20メートル以上ありそうだ。 そして、造り出されたゴーレムに水の膜が張られていく。 水の膜が張られ終わると、怪物になった生徒が闘いの合図をとった。 「じゅんビはできタか?戦闘カいしダ!」
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