Chapter1

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  「あぁ、輝彦坊っちゃま。今春入学のこちらの生徒さんの、入寮手続きに不備があったようでして……」  坊っちゃま?  えっ、この人は何者?  混乱の中、その坊っちゃまがそれに答える。 「町山さん。いつも言ってるけど、その坊っちゃまって止めてくれない? 僕だって、ここの学生なんだからさ」 「大変、申し訳ありません。ですが……」 「ですがじゃなくて、御門川くんでしょ」 「はあ……」  みかどがわ てるひこ。  名前も、どこか浮き世離れしてる。 「それで、手続きの不備ってなに?」 「入学手続きの際。入寮申請も出されたそうなのですが、こちらで受理されていないのです」 「それは、変な話しだね」  変な話しってか、学園側としては、あっちゃいけない話しだと思うんだけど。事務員の町山さんも、それが分かってるから動揺してるんでしょうに。  この動揺って、それとは違うのかな?
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