Chapter1

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  「あっ、あった……」 「申請されてたんだ」 「はい。別の新入生の入寮申請書と重なり、見落としてしまいました」 「でも、問題ないでしょ。寮の部屋は、空いてるんだろうし」 「いえ、それが……」  えっ、部屋すら空いてなかったりするの?  じゃあ、私はどうしたらいいの?  町山さんによると、大学生用の寮の一棟は老朽化の為に、取り壊して建て替える事が決まっているとか。その棟から新館に生徒を移して、今は部屋の空きが無いのだとか。 「町山さん。一部屋も、空いてないの?」 「はい、一部屋も……」  二人は、困惑した表情を浮かべている。  町山さんは分かるけど御門川さんまで、そんな表情をする必要は無いんじゃないの?  何だか、色々と謎な人だ。  でも、困ってる表情も美しいんだよなぁ。 「あの、坊っちゃま。この事を、お父さまには……」 「だから、町山さん」
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