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何を、間違ったんだろう。
どうして、こうなったんだろう。
薄暗く、ジメジメした地下牢でため息をつく。でも私の悲劇は、これが序章である事を、この時の私は知らない。
そしてその時、地下に降りてくる足音が聞こえた。
背が高く長い足。肌のキメは女の私より整ってて、眉目秀麗を絵に描いたような美形な顔立ち。小さな顔に、キューティクルが輝くサラサラな髪。
完璧だぁ……
私は、この人を知っている。
この人こそ、私をこの地下牢の部屋に押し込んだ張本人。その切れ長の目が、優しく私を見つめている。
ううん、優しくは無いか……
「どうだ、この地下牢の住み心地は?」
「えっ?」
「良い訳が無いか、牢屋だし」
「あっ、いえ、その……」
その視線は、余りにも冷たかった。見とれる程に美しい顔なだけに、冷ややかな視線には怖さすら感じる。
人を、見下すような目。
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