Can you celebrate?

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 その後ランチを食べてから、地元の市役所に行って婚姻届と転入届を提出してきた。別に断られると思っていたわけではないが、あまりにもあっけなく受理されて拍子抜けしてしまう。それはハルナも同じだったようだ。 「何か、あまり実感がないですね」 「これから徐々に実感するだろう」 「そうですよね」  ハルナはふわっと笑った。  千尋もつられるように笑みを浮かべて彼女の手を握る。何も言わずいきなりだったのですこし驚いていたようだが、すぐにそっと握り返してきた。そのまま人通りのない道を歩く。 「希……って呼んでいいか?」 「え、はい……千尋さん?」  互いに遠慮がちに窺い、目が合うと照れたように笑う。  もう榛名ではないのにハルナと呼ぶのはどうかと思うし、おにいさんというのもおかしい。これからは名前で呼び合うのがいいだろう。すぐには難しくても、慣れるための時間はたくさんあるのだから。
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