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出会い
それは中学を卒業し、春休み中に街中で友達と遊んでいた時だった。
「よう。美妃じゃねぇか。」
ニヤニヤと…薄笑いを浮かべて声を掛けて来たのは、中学の1つ先輩で、今は県下一の不良高校に進学していた、山形一也先輩だった。
「一君…」
正直、会いたくない奴だった。
中学の時から言い寄られているが、強引な上にしつこい。
はっきり断りたいのだが、質の悪い事に、腕っぷしに自信があるタイプで、しかも相手が女の子でも、その力を平然と振るう。
私も真面目な生徒では無かったからか、いつからかコイツに目を付けられていた。
「何だ?暇なのか?なら、一緒に飯でも食おうぜ。」
案の定、そう誘われてしまう。
「いや…アタシ、今ツレといるから…」
そう言って断り、一緒に遊んでいた夏見と目を合わせる。
夏見も当然、一君の素行の悪さは知っているので、退散しようとしているのだが、そんな簡単に諦めてくれる奴では無かった。
「何だよ?ならツレも一緒に来いよ。こっちも何人か呼ぶからよ。カラオケでも行こうぜ。」
言って、肩に手を回してくる。
「いや…ちょっと…」
身体を捩り、抵抗するのだが、相変わらず凄い力だ。
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