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『あの日はお向かいの佐藤さんのお宅で、屋根のペンキ塗りが行われておりました……タクちゃんに話しかける塗装屋さん達と、庭におりました夫達を交互に見ながらお茶を楽しんでいましたら大きな音がいたしまして……』
ここでまた全員の嗚咽が止まらなくなった。少し待つと、気丈にも鈴木さんは話し続けた。
『大きな音がしたと思いましたら、少年が垣根を越えて飛んでまいりました……少年と高橋さんの頭がぶつかったのが分かりました……その衝撃で高橋さんの持っていたハサミが夫の首を刺しまして……夫は首から血を吹き出しておりました……』
……なんてことだ……。
『少年は高橋さんにぶつかると、また垣根を越え道路側に飛んでいきました……庭には明らかに首の折れている高橋さん、そして血飛沫をあげている夫……私たち自慢の庭は凄惨たる有り様となっておりました……』
もう一人のお婆さんが続ける。
『それを目の当たりにしましたら、私は食べていた大福が喉に詰まりまして……そのまま……』
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