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8・リュウ
鈴木さんの家の垣根の辺りで、まずはペンキを塗っていたキョウ君を呼び出した。
『……鈴木さん達が不憫でよ……出れなかったわ……』
姿は現さなかったが近くで聞いていたようだ。
……さて、リュウ君を呼び出そうと思ったが、あまりにも気配が弱々しく私の呼び掛けに応えてくれない。今にも消えてしまうんじゃないか、と思うほど酷く弱っている。困っているとキョウ君が任せてくれと私の前に腕組みをして立つ。
『おいコラ!リュウ!!いるんだろうが!!出てこいや!!!!』
まるで今からPRIDEの試合が始まりそうな怒鳴り声だった。
するとビシィ!っと気を付けの姿勢をした少年が……え?少年……?
『キョウさんすいませんっス!!やらかしたっス!!』
目の前には時代錯誤な……四つボタンに太めのズボン……いわゆる短ランボンタンに金髪リーゼントの少年が現れた。
まだこんな気合いの入った……いや、こんな恰好をした子がいるなんて!
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