死んだ理由

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もう死のう。 そう思い生きていた。 いつの頃からか死にたかった。 消えたかった。 ここ数年、毎日毎日会社と家を往復する日々。 家に帰ると力尽きて何も出来ない毎日。 いつもこうだ。 朝目が覚めると、ご飯もろくに食べれず会社に行く。 休み時間もほとんどなく、トイレもまともに行く時間もない。 昼休みも無いに等しい。 朝から晩まで働いた。 土日も祝日も働いた。 給料は未払いに近かった。 経営も傾き、いつの間にか給料自体がまともに払われなくなっていたのだ。 少ない給料がさらに少なくなっていった。 時給とか言う概念は有って無い様な物でまともに支払われず、 残業代おろかも休日手当も出なかった。 それでも忙しい日々を働くしかなかった。 虐められながら働いていた。 虐めているのは経営者側の人間だ。 社長の息子。 奴は結婚もして子供もいる。 しかし、性格は酷く、顔も怖かった。 いつも人を馬鹿扱いしてくる。 自分が仕事をしていないとかミスが多いならともかく、その逆だった。 大量に仕事を渡され、急いで仕上げるとまた大量に仕事を渡されるだけ。 奴は自身の仕事をほとんどこちらにやらせていた。 自分はミスもせずに、もくもくと仕事をこなすだけだった。 ミスをすると取引先から物凄い勢いで怖い人が送られてくる。 腕を組んで文句だけを言う為に数時間居座る怖い人達だ。 天下りの人間らしい。 文句を言ってるだけで給料が50万も貰える人だと言われていた。 この人達が来るといろいろと嫌な思いをするのでミスは出来なかった。
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