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「ちょっと待っててね」
急いで靴を履き替えるのを見ながら、先輩の方を横目で追った
先輩は校門で待ちわびている彼女の所へ脇見せずにまっすぐ歩いていた
遠くから見ても彼女は小柄で細く、サラサラで綺麗な黒髪は一つにまとめて後ろに結んでいて、とてもかわいい女性だった
今から二人が行く先を想像しただけで、頭に霧がかかったようにモヤモヤしてしまう
見ているだけなのにまだ心の痛みは治まらない
「梨音、何をじっと見てるの?」
「な、なんでもないよ!さ、帰ろっか!」
不意に美結から心配そうに顔を覗き込まれて、今考えていた事が気づかれませんようにと祈りを捧げた
友達に話して気持ちをすっきりしたいという気持ちはあるのだが、この場で話すとすぐに泣いてしまいそうで言えなかった
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