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学校では、当然と言うのもおかしいが、同級生からは二人で居る事や、東京弁で話す事をからかわれた。
姪浜は漁村であり、また近くに早良炭鉱があるからか、逞しい漁師や坑夫の子どもから見れば、東京弁は軟弱で気取った様に見えるらしい。しかも愛想が無い妙子には、僕以外には友達が出来ず、また女子と二人で登下校を一緒にすれば嫌でも目立った。
でも、からかわれればからかわれるほど、僕は妙子に対して言い様の無い気持ちを抱いた。多分、好きとかそんなのではなくて、二人なら大丈夫とか、そんな気持ちだったと思う。
妙子とは、色々と共通点が多い。家の近さ以上に、そうした境遇と精神的な近さが、僕達にはあったのだ。
休みには、二人で本を読んだ。二人共、読書が好きだったのだ。
僕が読んだ本を、妙子が読む。そして、感想を言い合う。その時は、普段しかめっ面の妙子も、笑顔になって饒舌に話した。
読書の他に彼女が好きだったのは、愛宕山のケーブルカーだ。
麓から山頂を結ぶロープウェイは、愛宕山が全国で二ヵ所目、九州で初めてのもので、参拝客や修学旅行の学生で賑わっていた。
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