虚像

「先生御自身も商品の一部なんですよ。だからイメージダウンに繋がる事は全て表に出さないで下さい」
クライアントやスタッフから何度も言われ続けてきた呪いの言葉。
私にだって人に言えない秘密くらいある。
でもそれは皆に望まれる姿とはあまりにもかけ離れた物で。
周りが求める「常に輝いている私」を演じ続けなければならなかった。
自分の心を殺して嘘で飾られた自分を作り上げる。

苦しい…助けて…誰か…

しかし救いの手が差しのべられる事は無かった。

そうして…本当の私の心は壊れ死んでしまった。

「眠れない」と言って医師に睡眠薬を処方してもらっていた。
それを飲んだふりをして貯め続けた。
きっとこれなら楽になれる…。
本当の自分の姿を取り戻す為に、今、これを全部使おう…それで私は解放される。

ゆらゆら…ゆらり…

…朦朧とする意識の中で、心地よい希望の光に身を委ねながら…。