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次の日,畑になった南瓜を日ごろから世話になっているご近所に配った。
近所からもあまりにも美味い南瓜だと感謝され,上機嫌になった智は来年に植えるための種をたっぷりと取っておいた。
「武次,お前にも種をやるから来年畑に撒け」
「おお……あの美味い南瓜か。こいつは来年が楽しみになるな」
「村のもんにも配ってある。こいつが村を裕福にしてくれるかもしれねぇからな」
「そうだな。戦争も終わったし,これからはいいことが待ってるかもしれんな」
「まったくだ……」
「戦争の次は鉱毒問題が終わってくれたらぁ,俺たちも畑仕事に専念できるってもんだ」
「そうだな……。美味い南瓜が育てば,この村もちょっとは裕福になるかもしれねぇな」
そうやって智は仲間たちにも南瓜の種を気前よく配ってまわった。
そんな智の太っ腹に誰もが感謝し,こんな美味い南瓜なら村の特産品になるんじゃないかと話し合うほどだった。
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