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「そんなっ、沙々ちゃん。まだ高校生だったのに」
「就職出来ないかもとは思っていたけど、まさかこんな形で就職出来なくなるなんてっ」
「就職出来ないかもしれない不安からたくさん泣いて、だから目を開けたままだったのかしら」
「沙々ちゃん、確かにかなりおかしな子だったけど、そんなに就職やばかったなんて」
『さっきから聞いてれば散々な言われようだな、オイ!』
『あんたのことだし』
自分が死ぬ場面を見せられ、さらには火葬されて骨だけになるところまで見せられた私は、集まった親族のあんまりな言葉に聞こえないと分かっていても思わず言い返してしまう。就職、就職って、どうしてみんなそんなに私の就活事情を知ってるんだよ! はっ! もしやお母さん達が日頃からみんなにあれこれ言ってるんだな! あんなに泣いてたくせに娘の恥を言いふらすなんてっ!
『これでお前も俺らと同じ幽霊だ! ざまあみろ!』
私の周りにふよふよと浮かぶたくさんの霊達が一斉に高笑いし始める。
まさか幽霊が生身の人間を殺すだなんて思ってもいなかった。どうして、私がこんな目にっ。悲しくて、悔しくて涙が滲んだのは、ほんの一瞬だった。
(――待てよ。私もこいつらと同じ霊体になったのなら、直接攻撃が効くはず!)
そう思った次の瞬間、高笑いしながら油断しまくっている近くの霊に殴りかかる。
『うわあっ! な、何だっ!?』
『こいつ、今殴ったのか!?』
何が起こったのか分からず慌てる霊達を、一人一人殴っては蹴りまくる、を繰り返す。まさか死んでまで自分達に反抗してくるとは欠片も思っていなかった霊達は、久しく感じていなかった痛みにあっさり号泣。それはもう、こっちがドン引きするくらい。
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