1人が本棚に入れています
本棚に追加
『信じらんない! 私達幽霊よ! 幽霊を殴るなんて!』
『常識で考えてありえないだろ! 普通もっと自分の死を悲しんだりするだろ!』
『いたっ、痛いようううっ! 嫌だよ、こんなのっ。死んでまで痛みを感じるなんてっ』
『こんな女、手に負えない!』
『まだ塩投げられてるだけの方がよかった!』
『死なせなきゃよかった!』
泣きながら大声で騒ぐ霊達。その言葉も親族のそれと同様に酷い言われようで、思わず顔をしかめて舌打ち。
『おいおい、勝手に殺しておいてまた散々な言い草だなあ。殺したことを後悔するくらいなら今すぐ生き返らせてよ!』
『そんなこと、出来るわけないだろ! 俺達は神じゃないんだぞ! 殺すことは出来ても、生き返らせるなんて無理に決まってる!』
『偉そうに言うことじゃないだろ!』
『大体、仮に生き返ったとしてもお前なんか就職出来なくて自殺すんのがオチだ!』
『どんなオチだよ! お前らまで私の就職に口出しすんのかよ!』
幽霊と幽霊の喧嘩なんて終わりが見えなすぎて疲れる。何か私、死んでからの方が酷い扱いじゃない? もうっ! どいつもこいつもうるさい!
『もーー! お前ら全員うっさい! 幽霊だからもう死んでるとか関係ない! 全員半殺しにしてやるーーっ!』
『何だとっ!? うわっ、こっち来んな! 塩っ、塩っ! あっ、駄目だ。塩触れねえっ!』
そうして私は周辺の霊達を全員フルボッコにし、最終的に『ボスだ。こいつをボスにすればここいらの霊達には負けねえぞ!』なんて言われるようになってしまった。どうやら私の就職先は幽霊のボスらしい――。何でそうなるんだよっ!
最初のコメントを投稿しよう!