優しい夕立に明けの空

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 空の芸術と言われているそれを見に行く約束をして当日。俺と幼馴染の空は、雷の轟音とバケツをひっくり返した様な土砂降りの雨に晒され、泣く泣く雨宿りとして神社を使っていた。  祭りの場所として使われていたのに、今じゃ中止だなんだって屋台は解体、的屋の皆さんも居なくなって喧騒も引いてしまっている。 「付いてないな……」 「まったくだねぇ……ひくちっ」  可愛いくしゃみと共に身体を少し震わせる空。一応夏だったので着ている服装はとても薄い。水分を含んでびちゃびちゃだった。だが俺としてはそちらを見ない様に前だけ見ていた。  俺も冷え切った身体だったけど、脱ぐ訳にはいかないしな…… 「あー……冷えたな」 「そだねぇ……ねぇ優」 「なんだ?」 「寒いから、脱がない?」 「―――おまっ!?」 「あー勿論お互い背を向けてね。それとここも見つからないとは限らないから、神社の裏側に行こう」 「あ、ああ……」  そうして2人背を向けて、上半身だけだが脱いだ。びちゃっと鳴る服の音が生々しくて、必死に意識を逸らそうと話を振る。 「にしても、残念だったな」 「誘って来たのは優じゃないか。私は家でのんびりしているだけでも良かったのに」 「それは……」 「青春ってやつ?普段はそんな暑苦しいもの興味無さそうに見えたけど」  確かにその通りである。生まれてこの方、相方のこいつと日がな一日下らない会話の数を重ねて重ねて、石の上に17年積み重ねてしまった人生。女っ気も無いし空以外の女に興味を示した事も無かった。  だからと言って、こいつの事をそういう風に見ているかどうかはまた別の問題だが。 「お前はどうなんだ?俺以外にだって誘われた事ぐらいあるだろ?」 「うん?まぁ、あるよ。一度も行った事無いけどね。それは年中一緒に居る優が証明してくれるよね」 「……俺、もしかして邪魔か?」 「あぁ?」  何でそんなドス効いた声で言うかな。 「あのねぇ優。君は私をどういう存在として見ているの?友人?恋人?それとも顔見知り程度の間柄?」 「ゆ、友人だと思ってるぞ俺は?」 「なら何で誘ったのが私だけなのかな?」
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