優しい夕立に明けの空

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 思考が停止した。待て、待ってくれ。全てが急過ぎる。欲しい言葉?それって何だ?その前にこの背中に掛かる柔らかさが男の性を刺激するのをどうにかして欲しい。何で雨に濡れてるのにこんな甘い匂いが鼻孔を擽るんだ。というか空、こんなに女らしい身体だったけ?  ……と、とにかく情報が必要だ。過去最高に空が攻めて来ているのだけは分かっているからな。 「空……それって、俺も望んでいる事か?」 「……そ、そうだと私も嬉しい……と、思う」 「そ、そうか」  俺も望んでいる言葉……空と一緒…………あれ、もしかして最大のチャンスか?いや待て、そう思ってぬか喜びした回数を数えて落ち着け。  空はいつも色んな男と仲が良かったし、それこそ告白された回数だって両手で数えきれないんだ。お互いそれはまぁ同じぐらいだが、好きではない相手と付き合う気は無かったっていうのもあった。  それに、その度に俺達は互いの日常を想ってしまっていた。こいつと一緒に居る日常の心配をしてしまっていたんだ。それが今にして思えば、赤ん坊の頃からの17年の間に何故気付かなかったと自分の鈍感さに腹も立った。  だからこれはチャンスだった。多分人生最後の、空とのチャンスだ。 「……空、振り向いちゃ駄目か?」 「んなッ!!!」 「いや、無論目は閉じる。ただ、お前の方を向いて話しがしたいんだ」 「……分かった」 「ありがとう…………じゃあ……向くぞ」  背中の感触が消え、俺はしっかり目を閉じて後ろを向いた。触れてないけど、確かに空が震えたのを感じ取る。此処まで来ると、見なくても相手の吐息でその心情が分かった。長年の功ってやつだろう。 「空……もう長い付き合いだけど、俺が気付いた事とか色々話して良いか?」 「良いよ、付き合う」 「ああ。俺、今だから言うけど、お前が部屋に入って来る度に心拍数が跳ね上がってたんだ」 「私も、良く跳ね上がってたよ。優のベッドに転がるのは、君の匂いに包まれていると安心出来たからだ」 「だから余り洗うなって言ってたのか……そんな事言ったら、今俺はお前に抱き着かれた時の甘い匂いでクラクラしてるぞ」 「恥ずかしい事言うなぁ……」  いや、お前も十分過ぎる程恥ずかしい事言ってるからな?
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