優しい夕立に明けの空

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 少しだけ話は止まり、また雨の音だけが静寂に響き渡る。互いに『異性』として意識していた事実が今更明るみに出て、俺達が男と女だという結果を否が応でも分からせてしまう。 「……優は、私がナンパされるといつも助けてくれる」 「空は逆ナンされた俺を助けたな」 「男に告白されると、いつも不機嫌になった」 「お前もな」 「それで何故か喧嘩になって」 「クレープ奢ったら機嫌直って」 「映画は互いの家で観て」 「夏は家族ぐるみで海に行って」 「あの時の水着をいつも褒めてくるから」 「脇腹突かれて黙らされた」 「「……ぶっ」」  今まではまるで意識していなかった思い出の数々が、自然な言葉の掛け合いでそれはもう出て来る。そのどれもがまるで……まるで…… 「沢山茶化されたな」 「その度2人で誤解を解いてたね」 「……ずっと迷惑だと思ってた。そういう関係は」 「私達は友達だった、から?」  頷くと、空は可笑しそうに笑う。 「馬鹿だね優は。私は最初から、そういう関係でありたかったのに」 「―――ッ!!!」 「あっ……」  目の前に居ると信じて、両手を伸ばし空の腕を掴んだ。直ぐ離して肩に変える。これ以上言わせたら……いや、もう遅いけど。男として廃るから。  空は肩に乗せられた手に自分の手を重ねた。少し冷たくて、じんわりと熱が移って行くのを感じる。 「俺もそういう関係になりたいって……思う」 「……なら」  手を取られ、頬に添えられる。柔らかい感触に、壊れないように優しく触れた。 「お願い……優の気持ち、ちょうだい?」
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