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それからしばらくして、美月は上条に部屋を案内された。そして日常では夕食は17時になるとお手伝いさんが来て食事を作ってくれることと、掃除は平日の朝にお手伝いさんが掃除して来れることも教えてくれた。
「でも(美月の来る)水曜は、連絡をしないと誰も母屋には来ないよ」
そう言って上条は、怪しく微笑んだ。その笑顔に引き込まれそうで、美月は慌てて仕事の話に戻す。
「それじゃ、掃除も食事も何も出来ないじゃないですか?!」
「だから何もしなくていい」
上条は一人、納得したように頷いて案内を続けた。
一階にはメインのアトリエの他、ゲストルームが二つ。バス、トイレ、キッチン、納戸もあった。二階には上条の寝室にゲストルームとシャワールームにトイレと案内された一部屋、案内されなかった部屋を聞くと絵が置いてある物置だと言った。
その案内が済んでから、上条は昼の食事は自分が作ると言ってキッチンに入っていった。美月も慌てて後を追う。
「好きに過ごしててくれればいいよ」
その慌てた美月の姿を見て、上条は笑った。キッチンは中央にシンクとコンロがあり、コの字型に食器棚などが並んでいる。大きな冷蔵庫から、上条がテキパキと野菜などを出していく。
「今日はホイコーローにしよう。下準備は、昨日サキさんにしてもらったんだ」
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