第二章 すずらん return of happiness(再び幸せが訪れる)

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美月は上条の身体を案じて、そっと膝枕を外そうとする。すると暖かな手が、美月の太ももを押さえた。 「上条さん、風邪引いちゃう」  美月は起こすのもかわいそうだと思ったが、声をかけた。 「上条、さん、は嫌だな」  上条は上を向きなおした。先ほどより赤い目をして、美月を見上げる。 「じゃあ、何て呼んだら?」  上条はニヤッと笑って 「りょすけ」  と言った。 「りょすけ・・・さん」  さすがに、呼び捨てには出来ないと美月は思った。でも上条は不満そうにまた 「りょすけ」  と言い直した。 「りょすけ・・・ですね?」  仕方なく美月が呼び捨てにすると、遼佑はにんまりした。付き合いたてのカップルのようで、なんだか恥ずかしい。 「もう少しだけこうしてて」    遼佑は猫のように、膝にスリスリして甘えた。滉一も美月の膝枕が好きだった。耳掃除してと言って膝枕すると、必ず決まって寝てしまう。 「安心するんだ」  滉一がそう言っていたなと、美月は思い出していた。しかし、しばらくその体制でいた美月は、足の痺れに耐えられなくなった。 「あの・・・かみ、りょすけ、足が痛いです」 「あぁ、ごめん、ごめん」  遼佑はすぐに起き上がって、寝癖のついた頭を撫でた。 「お手洗いに行ってきます」       
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