第三章 カラー feminine modesty(乙女のしとやかさ)

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 美月はぼおっと見惚れながら呟いていた。その言葉に遼佑は吹き出した。高らかに笑い声をあげる。これほどまでに近距離でなかったら、遼佑まで聞こえることはなかっただろうと美月は声に出してしまったことを後悔した。 「大丈夫そうで良かった」  そう言ってシャワーの水を止めた遼佑の視線が、不意に止まる。視線の先にはたくし上げられたスカートから、布が見えている。それは水に濡れて色を失って、その奥にある黒い茂みを浮かび上がらせていた。美月が手でそれを隠す前に、遼佑は美月を降ろすと 「しばらくは冷やした方がいいかも」  そう言ってバスルームから出た。  美月が遼佑に用意されたタオルで体を拭き、バスルームを出ると美月が脱いだ服はなく、遼佑の服が置いてあった。身長が180センチ以上はある遼佑の服は美月には大きく、遼佑のシャツを羽織って、その上にロングカーディガンをガウンのように身にまとうことができた。 「冷えたでしょ?こっちを暖めておいたから、おいで」  物音で美月が出て来たことを察した遼佑が、二階から美月を呼んだ。美月が階段を上がると、正面の部屋の扉の前に遼佑が待っていた。先日、初めてここを訪れた時、瀬木に遼佑が待っている部屋だと教えてくれた部屋だ。     
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