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しばらくして遼佑の鉛筆の音が止まった。美月は先ほどまでの事を、堂々巡りに思い出していた。
「ちょっといいかな?」
遼佑に呼ばれて、美月が顔だけで振り返る。
「はい?」
「ポージングを変えてもいいかな?」
そう言われて美月は前を向いてと言われたら、どうしようかと戸惑った。でもできるなら、遼佑の視線がわかる位置がいいなと思った。
「どんな感じで?」
「ソファーの背もたれに抱きつく感じで、お願いできるかな?」
美月はカーディガンをソファーの背もたれに挟むと体を密着させた。それから遼佑の指示で、ひじ掛けに腕を付いて斜めに体を支える。
「あまり楽な体勢じゃないから、さっと終わらせるよ」
腕を付いて遼佑に横顔を見せる体勢になった美月は、遼佑の視線を感じることができるようになった。この体勢だと後ろからは胸の膨らみがソファーの背もたれに押されて見えているかもしれないと美月は思う。また前のように、美月は遼佑に見られている感覚がリアルに感じてきた。
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