第三章 カラー feminine modesty(乙女のしとやかさ)

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 遼佑の視線が、美月の横腹を撫ぜている。美月にとって、そこはとても敏感な場所。実際に触られたら、声を我慢することなど到底できない。遼佑の視線が横腹から肩へ、そしてうなじへと上がる。息が少し荒くなってきていることを、美月は遼佑に悟られないように深呼吸した。でも、美月の吐く息が、途切れ途切れになってしまう。 「もういいよ。ありがとう」  遼佑が終わりを告げると、玄関のチャイムが鳴った。 「瀬木が着替えを持ってきたんだと思う」  美月が頷くと、そう言って遼佑は部屋から出て行った。遼佑が出て行った後、シャツのボタンだけ留めてカーディガンを纏う。すぐにノックの後に、遼佑が着替えを持って入ってきた。 「気に入るかわからないけど」  遼佑はなぜか嬉しそうにそう言って、美月に紙袋を渡した。先ほどからの呼吸の乱れがまだ収まらない美月は、慌てて立ち上がってお礼を言うと、そそくさと二階のシャワールームに付属している洗面所に向かう。 袋を開けると、藍色でノースリーブのワンピースが入っていた。Y字に開いた襟元と裾の細かな刺?が、清楚な印象を与える。そして白いカーディガンが羽織るように合わせて入っていて、下着まで用意されている。紺色のショーツとブラの表示を見ると、カップもピッタリのサイズだ。瀬木は、美月のどんなことまで調べているのだろうと少し怖くなった。     
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