第四章 ラベンダー 花言葉 distrust(疑惑)

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第四章 ラベンダー 花言葉 distrust(疑惑)

 美月はその日、滉一から会社の飲み会で遅くなると聞いていたので、退社後にそのまま出かけることにした。観たかった映画を見て、何か食べて帰ろうかと電車の中で模索する。そこに瀬木からラインが入った。 「お会いできますか?」  美月は瀬木からこうやって連絡が入ることがあれ以来なかったので、何かあったのだろうかとすぐに大丈夫だと返した。指定された場所は、美月が向かった方面にある駅。美月は、また監視されているのだろうかと思った。    あの後、美月が部屋の前で立ち尽くしていると、書斎にあったスマホが鳴った。短いやり取りの後、遼佑はクッションを椅子におくと立ち上がった。そのタイミングで美月は扉を開けた。 「ありがとうございます。ピッタリです」  先ほどの光景から逃れるように、美月ははしゃいでみせた。遼佑は美月が見ていたことを全く気付いていなかったようで、にこにこと微笑んでいる。 「良かった。やっぱり今日の美月は藍色が似合う」 「今日の?」  ラッキーカラーならわかる。もしくは似合う色は暖色、寒色の傾向とかぐらいなのではないのだろうかと美月は思った。 「今日の美月は、とても美しい薄いピンクなんだ」     
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