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少しずつ散っていく桃色の花びら
窓から見えるその光景が春の終わりを告げている。
窓側の一番後ろの席は居心地がいい。
暑がりな俺にとって生命線の風が吹いてくれる。
1番後ろだと休みボケのせいか船をこいている姿が見える。
日当たりも良くて風通しも良くて見張らしも良い。
なに不自由なくてそれ以上を求めようとも思わない。
しかし、それは嘘に成るのかもしれない。
今、俺には叶えたい欲望がある。
隣の席を横目で気付かれないようにそぉ~っと見てみると、雪見大福のように真っ白な大和撫子が見える。
彼女の名前は小野撫子。たった数日でこの高校の沢山の生徒たち達から人気を得た優等生である。最近、上級生が告白したようだが断ったらしい。それだけの人気を得るには多くの行動が必要だと思う。でも、彼女はなにもやってない。なにもやってないのに人気者になれるほどのオーラがあるのだろう。ほら、いまだってなんか黒いオーラが見え.....
[なんで、さっきからこっち見てるの?]
そう書いてあるメモ用紙を俺に向けてきた。彼女は俺とだけ会話をしてくれない。他の人とは「言葉」で語るのに、なぜか俺の時だけ違う。まあ、こんな汚染物と話すのも気持ちが悪いのだろう。
[ねえ、なんで?]マドンナが俺に話し?かけてくれている。有り難いものだ。
しかし、応答にも困るし俺みたいなブサイク糞野郎と吐き気がするほど喋りたくないかもしれない。でも、答えないのは間違っている。
「授業に積極的でとてもかっこいいなって思ったからだよ。」
そう小声で告げると、小野さんは顔をタコみたいに赤くして顔をうつむかせてしまった。
(俺なんか悪いこと行ったのか!?もしかして俺の顔が気持ち悪すぎて本当に吐きそうになっているのか!それとも、急に話しかけたせいで、うわナニこいつキモって思って即座にうつむいたのか!俺はなんて最低で気持ち悪い童貞野郎なんだ!.... )
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