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「警察も私が一方的に悪いからって犯人を無罪にしてしまったの。それで犯人はね、カボチャと一緒に人の頭を叩き割るのが癖になっちゃったみたいなの」
ジャックは最近テレビで流れているニュースを思い出した。
「それってまさか……カボチャ殺人事件?」
カボチャ殺人事件というのは最近世界中を騒がせている連続殺人事件の事で、被害者は皆カボチャを被せられた後に鈍器や鉈など重みのある刃物で殺害されている。
「そうよ、カボチャ殺人事件。いくら作り物でもカボチャを被ってたら殺してくれと言ってるようなものよ?少なくとも犯人からすればね」
「そんな……」
ジャックは思わず身震いした。
「だから私はジャック・オー・ランタンの仮装をやめなさいって言いに来たの」
「うん、分かった……。違う仮装をするよ……」
「本当?分かってくれて良かったわ。それじゃ、ハッピーハロウィン♪」
メアリーがそう言って手を振ると、テレビは勝手に消えた。
ジャックはジャック・オー・ランタンの被り物を持つと、キッチンにいる母親の元へ向かった。
「ねぇ母さん。仮装の事なんだけど……やっぱりドラキュラにするよ」
「本当!?きっと似合うわ!じゃあサムにジャック・オー・ランタンの仮装をしてもらいましょう!」
サムというのは母親の再婚で出来た出来の悪い弟の事だ。
「うん、そうだね。じゃあこれ、サムに渡しといて」
ジャックは清々しい笑みでジャック・オー・ランタンの被り物を母親に渡した。
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