ハロウィン

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10月31日の夕時。12歳の少年、ジャックは隣にハロウィンの仮装で使うジャック・オー・ランタンの被り物を隣に置いてテレビの前に座った。 もちろん本物のカボチャでなく、プラスチック製のものだ。 整った顔立ちをしたジャックは、母親にはドラキュラの仮装を勧められていたが、それを断ってジャック・オー・ランタンを選んだ。 せっかくのハロウィンだ、顔で寄ってくる女の子達に囲まれずに楽しく過ごしたかったからだ。 ハロウィン会場へ行くまでまだ時間がある。 「どうせカボチャ殺人事件のニュースなんだろうな……」 ジャックはそうボヤきながらテレビをつけた。 「ハァイ、私メアリーって言うの。あなたジャック・オー・ランタンの仮装をするつもり?」 テレビが映したのはドラマやニュースでもなく、頭に(なた)が刺さった女の子だ。 「うわあぁ!?」 驚いたジャックは後ずさりをした。 「待って待って、そんなに怖がらないで?そりゃ、テレビをつけたら鉈をつけた女の子が出たら驚くでしょうけど……。でもよーく見て?私、可愛いのよ?モデルにスカウトされたことだってあるんだから!」 メアリーと名乗る少女は自慢げに言う。 ジャックは恐る恐る元の位置に戻り、メアリーをまじまじと見た。確かによく見ると彼女はなかなかの美少女だ。 「ま、まぁ確かに可愛いと思うよ……」 ジャックは顔を引きつらせながら言った。 「ふふーん、可愛いでしょ?今日はあなたにお願いがあって来たの。まずあなたの名前を聞いてもいいかしら?」 「えっと……。ジャック、だけど……」 「まぁ、ジャックっていうのね!まさにジャック・オー・ランタンをやるのにふさわしい名前じゃない!」 メアリーは両手を合わせて目を輝かせる。
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