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「でもね、ジャック。ジャック・オー・ランタンの仮装はやめた方がいいわ」
メアリーは悲しげな顔をしながら言った。
「それは、どうして?」
「そうねぇ……。どこから話そうかしら?私もジャック・オー・ランタンをした事から話しましょう」
メアリーは特に考える様な様子もなく決めた。
「あぁ、いえ。まず私が死んでるって事を頭に入れてちょうだい。いいわね?」
「え?あぁ……うん」
「じゃあ話すわよ。あれは去年のハロウィンの事よ。私はジャック・オー・ランタンの仮装をしたの。可愛い魔女や黒猫もいいけどせっかくのハロウィンだもの、面白い格好したいじゃない?」
「まぁ、そうだね……」
ジャックが同調すると、メアリーは満足げに笑った。
「ジャック・オー・ランタンをした私は思ったの。ただ普通に驚かせるだけじゃつまらないって。ねぇ、パンプキンクラッシュって知ってる?」
「何それ?」
聞き慣れない言葉に、ジャックは聞き返した。
「木箱に乗ったジャック・オー・ランタンを壊すの。何を使ってもいいわ。ハンマーでも鉈でもね」
メアリーは自分の脳天に刺さった鉈を指さしながら言った。
「それで私ね、ひらめいたの。パンプキンクラッシュ用のジャック・オー・ランタンになったら面白いんじゃないかって」
(この子は何を言っているのだろう?)
無邪気にとんでもない事を言うメアリーに頭を抱えた。
「私工作は得意なの。だからパンプキンクラッシュに使う箱と同じ木箱を貰ってきて頭を通すための穴を開けたわ。誰よりもはやくに会場に行ってジャック・オー・ランタンの中に入ってスタンバイしてたわ」
当時のワクワク感を思い出しているのか、メアリーは楽しそうに言う。
「でもね、色々と誤算だったわ……。私、てっきり17時、つまり5時ね?その時間からやると思ってたの。でも実際は夜の7時からだったのよねー……」
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