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「それで君は何時から行ったの?」
「16時からよ。誰もいなかったわ、今思えば当然ね」
メアリーはやれやれと肩をすくめてみせる。
「すっかり待ちぼうけの私はジャック・オー・ランタンと木箱の中で眠ってしまったのよ……。で、気がついたら頭に鉈が刺さってたの」
「えっと……?」
話が飛躍し、ジャックは困惑した。
「もー、分からない?私が爆睡している間にパンプキンクラッシュが始まっちゃって、会場には私が入ってるって知ってる人なんていないからパンプキンと一緒にクラッシュされちゃったの!」
メアリーは何故かキレ気味に言う。
「ご、ごめん……」
あまりにも迫力があるため、ジャックは謝ってしまった。
そしてひとつの疑問が浮かび上がる。何故メアリーはジャック・オー・ランタンの仮装をやめろと言うのか?
メアリーがジャック・オー・ランタンの仮装をして死んだ理由は分かった。だがジャックの街で行われるハロウィンイベントにはパンプキンクラッシュなんてない。
「ねぇ、メアリー。君が死んだ理由は分かったよ。でもなんでジャック・オー・ランタンの仮装を止めるんだい?この街ではパンプキンクラッシュはやらないんだよ?」
ジャックがそう言うと、メアリーは哀れむような顔をして首をゆっくりと左右に振った。
「知らないって怖いわね……。今年からはジャックの街でもパンプキンクラッシュが開催されるのよ」
「でも僕は君みたいな事をしないから大丈夫だよ。それに君を死なせた人は今頃刑務所にいるだろうしねきっと今頃牢屋の中で懺悔しているんじゃないかな?」
「残念ながらジャック、私を死なせた人は刑務所に入らなかったのよ」
「なんでまた?」
メアリーはとても悲しそうな顔をしてうつむく。
「私、パパにもママにも愛されなかったの。私はとっても可愛いけど話してるとちょっとおかしいでしょ?」
「そんなことって……」
ジャックは驚いてメアリーを見つめる。
確かに話してておかしいとは思うが、話が通じなかったり進まなかったりするわけではない。
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