プロローグ

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___愛してる。 そう言う、彼女の瞳は黒く濁り切っていた。 ジャラジャラとなる、首元に付けられた鎖を踏まないようにしながら、僕はゆっくりと彼女に近づく。 遮光カーテンに閉ざされたこの部屋には、僕と彼女以外誰もいない。 それが酷く嬉しかった。 彼女を独り占めしている様で、彼女に愛されてる様で。 血に濡れた手で、彼女の頬に優しく触れる。 「うん、俺も。君を愛してる」 頬に付いた血が、白い肌を更に白く魅せているようで、俺の心を興奮させた。 ああ、もっと触れたい。 触れて壊したい。 かき乱して、ぐちゃぐちゃにして、俺色に染めたい。 そんな欲望を抑えながら、傷だらけの身体を引き摺り、彼女を抱き締める。 「私は、君以外いらない。私を愛してくれたのは君だけだもの」 強く、強く、吐き出すかのように彼女は言った。 「ぁは、あははッ俺もッ君以外いらない!いらない、いらないからさァ……俺だけを見て。俺を、俺だけを」 彼女以外、俺には必要ないのだ。 彼女に捨てられれば、俺はどうなってしまうか分からないんだよ。 俺に価値を、愛を、感情を、与えてくれたのは紛れも無い彼女なのだから。 彼女を奪うというなら、俺は何にだってなろう。 それが悪魔でも、神でも。 「……ッうん、うん!君だけ、君だけをずっと見続ける。例え、死んだとしても」 きっと、俺達のこの愛は他の人からすると歪んでいるんだろうね。 でも、それでもいい。 いや、それがいい。 こんな欠陥品の俺を愛してくれたのは彼女だけで。 彼女を愛すことが出来るのは俺だけなのだから。 だから、何も間違ってなんかいない。 これが俺達の愛の形なのだ。
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