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電話の後二人と合流を果たした俺は、まず手始めと服屋さんに訪れていた。
あまり聞いたことの無いお店で、看板には〝ふりっぷり〟と書かれている。こりゃ訂正だな。全く聞いたことない。
何となくだが、その看板の字体や外面だけで判断すると俺達男よりも女性の方が多そうなイメージ。店頭に並んでいるマネキンも、可愛らしいワンピースを着ていたりオーバーオールをお洒落に着こなしていたりと、何一つ男要素を見つけることができない。
二人を訝し気に見つめ「どういうことだ」と視線で訴えるが、二人の表情は終始笑顔だった。それに何となく恐怖を感じてしまうのは仕方がない事だと思う。
……まさか、よく漫画とかであるオネエ店員がいたりして。冗談だけど。
そんな事を考えつつ、躊躇いなく入店していった二人を慌てて追いかけた。
「なあ、本当にここであってんのかよ……」
ついに我慢ならなくなった俺は、思い切って二人に問いかけた。しかし、彼らの表情筋はピクリとも動かない。
「なーに、心配すんなって! ここは俺のお勧め店だからよ!」
「いや沖田のならわかるけど、お前の勧めじゃあな」
「失礼! そこはかとなく失礼!」
相も変わらずテンションの高い鏡。彼の言葉に更に眉を顰めた俺は、もう一度周囲を見渡してみた。
――カップル、OLっぽい人、女子高生、女子中学生。
やはり、まんま女性客向けの服屋さんだと思うんだけどな。俺達三人だけ滅茶苦茶浮いてるし、カップルの彼氏さんも周囲を見ては苦笑いしている。
そもそも、品揃えがとか以前に内装が男を拒否している感満載だ。ピンクの壁紙に天井からぶら下げられたファンシーなキャラクターの飾り達。更に言えば、店員さん方の見た目も物凄く派手であり、最近の若い女の子たちに人気がありそうな雰囲気だ。
此処までくると、もはや外観との違いに唖然とせざるを得ない。何で外からだと普通のお洒落な店なのに、中に入るとサン○オ染みてんだよ。てか、店頭に置いてあったワンピースとか本当にあるのか?
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