俺の場合は後者。内心は――。

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 此処まで幸せで良いのだろうか……そんな考えが俺の頭の中をぐるぐると駆け巡っていくのだ。もしかして、俺は明日死ぬのか? 幸せを重ねると寿命が削られていくのか?  もうそういう事を考えなければ幸せ過ぎてどうにかなりそう。だが、それを悟られぬようにせねばいかん気がする。特に鏡には。あいつ、本当に晶さん大好き人間だし仮に俺がのろけ話なんか持ちだしたら、(うつ)ろな瞳で包丁を持ち出しかねない。  俺はもう一度溜息を吐き出し、黄昏(たそがれ)るように外へ視線をやった。  因みに現在はホームルームの真っ只中。と言っても特に連絡事項は無いらしく、担任の尾賀(おが)ちゃんが言葉みじかに終わりを告げた。 「週末だからって遊び惚けないように! 以上!」  尾賀ちゃんは「私皆を信じてます!」と言いたげな表情で拳を作る。普通の女子がやってもあざといだけの行動も、先生がやれば可愛らしくなってしまうのがまたこれ如何に。  うちの担任は晶さんと同期らしく、年齢は二十四。童顔に手入れの行き届いたロングヘアーがチャームポイントな可愛らしい人物だ。  しかし、だからといってあざとい言動が許されるのは違うと思う。実際、可愛い人であってもそういうのはうざく感じてしまう者だったりするし。しかし、それが何故尾賀ちゃんには当て嵌らないかというと――。 「尾賀ちゃん! 今日のご褒美の飴ちゃんだよ~」 「せんせー今日はランドセルで来たの?」 「尾賀ちゃんこそ、土日に誘拐されんなよ!」  彼女は背が以上に低いのだ。それこそ、生徒達に小学生扱いされるのが普通だったり、尾賀ちゃん専用の上り台が用意されていたりと学校側すらも公認している由緒正しき合法ロリっ子なのだ。
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